編集後記

2025年5月10日刊行『ゲンロン18』
『14』から年2回刊行してきた本誌は、次号から年1回に戻る。当初は年3回だったのを、『10』から叢書など他事業との兼ね合いで1回にした。人員は限られているのだ。ところが目次がどんどん肥大化。読者が手に取るにも分厚くなりすぎたため、こんどは年2回にした。その初回では戦時下のウクライナで取材をしている。年2回の期間は偶然、戦争の問題に焦点を当てた時期と重なった。気づけば肥大化する目次は、今後新しい刊行物たちに吸収される予定だ。(U)
ヒップホップの本を出し、星になったねこの絵本を出し、今度は文学とSFを特集した雑誌を校了している。節操のない版元だと思わなくもないが、その放埓さこそ弊社の特長なのだろう。特集に結び付けて「混血性」とでも言おうか。ヒップホップは文化の交わる場所に生まれ、ねこは気ままに混血し、一族の文学にはつねに複数の血が混ざりあう。そう考えると、弊社が生み出した「家族」たちも似た顔に見えてくるのだった。(Y)
今号から奥付の「編集」欄に名を連ねることになった。ウォッチに専念するのだという昨年末の社内の噂はどこへ消えた。今年末には新雑誌『ゲンロンy』(仮称)が創刊される。本当に出るのか、どんなものになるのか、新しい批評や言論のかたちを示せるのか。不安は尽きないが、やるしかないというのも本音である。批評も人文知もゲンロンも、ちゃんと続いていくべきだから。その道筋は意地を張ってでも模索したい。わが故郷の讃岐うどんのように、コシは強く、ずずずーっと。(う)





