編集体制変更のお知らせ|東浩紀

2025年5月10日刊行『ゲンロン18』
本誌は2015年に創刊した。今年で創刊10年にあたる。第2期が始まっても5年以上が経った。これを機に大幅に編集体制を変更したいと考えている。
次号『ゲンロン19』以降、いままでどおり東浩紀が編集長を務める『ゲンロン』本誌は年1回刊行に戻す。かわりに姉妹誌の『ゲンロンy』(仮)を創刊し、そちらと合わせ年2回刊行とする。連載は双方をまたいで継続するが、後者の目次は90年代生まれの若手が中心となって起案し、東は原則口を出さない。つまり『ゲンロン』を旧世代と新世代の2つのレーベルに分割する。新レーベルの創刊号は2025年内刊行が目標だ。うまくいけば次に出るのは『ゲンロン19』ではなくそちらになるはずだ。
この決定を警戒する読者は多いかもしれない。東浩紀の本でないなら買わないという声もあるだろう。リスクは承知している。それでも決めたのは、それが一種の義務だと考えたからだ。
ぼくは38歳でゲンロンを創業した。本誌創刊時は44歳だった。そんなぼくも今年で54歳となる。いつまでも現役編集長でいるのは無理がある。まだぼくの力が残されているあいだに、若い世代に批評のバトンを渡したいと思う。むろん旧世代レーベルには変わらず原稿を寄せるし、編集にも全力を尽くす。新世代レーベルにもゲストとして出現するかもしれない。でも主役は少しずつ彼らに移行していきたい。批評はアクチュアルでなければ意味がない。それは基本的に若者のものなのだ。
詳細は今後SNSなどで告知していく。応援していただければ幸いである。(編集長・東浩紀)


東浩紀
1971年東京生まれ。批評家、作家。ZEN大学教授。株式会社ゲンロン創業者。博士(学術)。著書に『存在論的、郵便的』(第21回サントリー学芸賞)、『動物化するポストモダン』、『クォンタム・ファミリーズ』(第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』、『弱いつながり』(紀伊國屋じんぶん大賞2015)、『観光客の哲学』(第71回毎日出版文化賞)、『ゲンロン戦記』、『訂正可能性の哲学』、『訂正する力』など。
1 コメント
- えび2025/05/19 21:01
「東は原則口を出さない」。東は口を出すだろう。しかし、東がそう書いてしまったという事実が意味することとは?ここには非常に大きな裂け目を見ることができる。



