ベンチャー精神と人文の未来

植田将暉 本日は石田健さん、桂大介さん、中路隼輔さんにお越しいただきました。石田さんは起業家でありつつ、ニュースメディア「The HEADLINE」の編集長を務め、コメンテーターとしてテレビなどでも活躍されています。桂さんは株式会社リブセンス共同創業者で、ゲンロンが手がける配信プラットフォーム「シラス」の C​T​O​ でもあります。そして中路さんはベンチャーキャピタル A​N​R​I​ でスタートアップ投資にたずさわりつつ、最近では雑誌をつくったり研究者への奨学金をスタートさせたりして注目を集めています。
 

 そんなベンチャービジネスを牽引する3​人に「人文」を切り口にしてお話をうかがおう、というのが今回の座談会です。最近、なにかにつけて人文とビジネスの関係が話題になっている気がします。YouTube やポッドキャストを開けば、ビジネスパーソン向けの人文コンテンツが大量に流れてくる。メディアは令和人文主義という新しいムーブメントが生じていると喧伝している。そしてピーター・ティールやアレックス・カープに代表されるように、哲学などの人文学的な素養を持ちつつ、テック企業を立ち上げ、社会を直接変えようとする経営者たちが目立つようになっています。これが大きな地殻変動のあらわれなのか、それとも一過性の盛り上がりにすぎないのか、気になっているひとも少なくないでしょう。
 石田さんはビジネスの世界で活躍するかたわら、大学院で政治哲学を研究されている。桂さんは YouTube で東浩紀さんと「リベラルテック月報」という人文知とテックニュースをかけ合わせた番組を毎月配信している。そして中路さんは、雑誌や奨学金を通じて、人文系の研究者や批評家、アーティストたちを支援しています。だから、人文知というものが経営や投資、ベンチャービジネスにどう結びつくのか、ふだんから実感しているのではないか。みなさんから見えているものを、本日はうかがえればと思います。
 ところで、そもそもみなさんは、いつ、どのようにベンチャービジネスの世界に関わるようになったのですか。

2026年10月24日刊行『ゲンロン19』

石田健

89年生。ニュース解説メディア The HEADLINE 編集長。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程(政治学)修了後、2015年に創業した会社を東証プライム上場企業に売却し現職。著書に『カウンターエリート』(文春新書)、『なぜ、それは不適切なのか』(マガジンハウス)。

桂大介

85年生。起業家、経営者。早稲田大学在学中の2006年に株式会社リブセンスを共同創業し、2012年に東証一部へ上場。贈与コミュニティ「新しい贈与論」の運営を務める。2019年株式会社ゲンロンと合同会社シラスを設立、2022年から共同代表に就任。

中路隼輔

91年生。ベンチャーキャピタルA​N​R​IでFirst ラウンド中心に投資活動に従事。時代社代表。著書に『はたらく人文知』(共著、光文社)。

植田将暉

1999年、香川県生まれ。編集者、株式会社ゲンロン取締役。早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程。専門は憲法学。おもな著作に、「瀬戸内海に権利はあるか」(『ゲンロンy』創刊号)、「21世紀の「自然の権利」と大地の人類学」(『文化人類学研究』25巻)。メディア研究者の山内萌とYouTube番組「今週の人文ウォッチ」を好評配信中!
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