令和カルチャーって、なに|森脇透青+山内萌+吉田とらじろう+植田将暉

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2026年3月13日刊行『ゲンロンy』

 

 元号が新しくなって8年になった。そのあいだ、わたしたちがそのなかを生きているカルチャーはどのように変化してきたのだろう。まだ輪郭を持たない「令和カルチャー」に、これから言葉を与えてみたい。

 どんなコンテンツが流行っているのか。だれがカルチャーをつくっているのか。その背景にあるものはなにか。批評家の森脇透青、メディア研究者の山内萌に、令和のカルチャー事情を語りあってもらった。司会は、批評家の吉田とらじろう。そこに編集者の植田将暉も加わった。

 まさにいま生まれつつある文化をどのようにして言葉でとらえるか。手探りの状態からはじまった「令和カルチャー」をめぐる座談会。批評が立ち上がるその瞬間に、あなたもぜひ立ち会ってほしい。

吉田とらじろう いま、この記事を読みはじめたひとたちは、そもそも「令和カルチャーって、なに?」とクエスチョンマークを浮かべているかもしれません。じつは、ぼくたち自身もよくわからない。「令和カルチャー」について喋ってほしいと編集の植田さんから要望されて集まったのですが、まだ見通しは立っていません。まずはおふたりの「令和カルチャー」に対する率直な感想を聞かせてください。

山内萌 わたしは1992年生まれなので、いわゆる「平成一桁ガチババア★1」の世代です。だから、令和カルチャーよりも平成カルチャーのなかで生きてきた感覚があります。どうしても平成生まれだなっていう自己意識のほうが強いんです。

森脇透青 ぼくもそうですね。1995年生まれですが、物心がついたころに観ていたテレビ番組といえば「エンタの神様」と「爆笑レッドカーペット」だった。

とらじろう どちらも、もう番組が終わってしまっていますね★2。そんなわけで、そもそも「令和カルチャー」とはなにかを確認するところから討議をはじめる必要があるわけですが、この言葉は、まだ社会で広く使われているものではありません。なので、まずはこの表現の発案者である植田さんを召喚して、この座談会の目指すところを明らかにしたい(笑)。

 植田さん、そもそも「令和カルチャー」ってなにを指しているのですか。

植田将暉 割り込んでしまいすみません。そのままですが、令和になってあらわれてきた新しいカルチャーのことを意味しています。とくに2024年から25年にかけて、それまでとはどこかちがう、新しい文化や社会の動向が出てきたように感じていて。とりあえず、それを「令和カルチャー」と名づけました。

森脇 なぜ「令和」なんですか。ぼくは元号が変わることが、文化や社会の変化につながっているとはあまり思わないのだけど。

森脇透青

95年生。批評家。京都大学文学研究科研究員。専門はジャック・デリダを中心とした哲学および美学。批評のための運動体「近代体操」主宰。共著に『ジャック・デリダ「差延」を読む』(読書人)、『25年後の東浩紀』(読書人)、『批評の歩き方』(人文書院)。

山内萌

92年生。慶應義塾大学院後期博士課程修了。博士(学術)。著作に「『性教育』としてのティーン雑誌──1980年代の『ポップティーン』における性特集の分析」(『メディア研究』104号)、「性的自撮りにみる「見せる主体」としての女性」(『現代風俗学研究』20号)、『メディアと若者文化』(共著、新泉社)。

吉田とらじろう

96年生。ライター・マンガ批評家。同人活動として批評雑誌「ワタツミ」を定期的に発刊。文筆業のほかインタビューや配信イベントの司会なども行う。

植田将暉

1999年、香川県生まれ。早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程。専門は憲法学。おもな著作に、「21世紀の「自然の権利」と大地の人類学」(『文化人類学研究』25巻)。ゲンロンでは編集と企画、ウォッチなどを担当。メディア研究者の山内萌とYouTube番組「今週の人文ウォッチ」を好評配信中!
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