【全文無料】『ゲンロンy 創刊号』編集後記|植田将暉+五月女颯+森脇透青+栁田詩織

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2026年3月13日刊行『ゲンロンy』


『ゲンロンy』創刊号編集委員 植田将暉、五月女颯、森脇透青、栁田詩織

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雑誌を編むとは、過去と現在をつなぐ作業だ。メディアの歴史を引き受けながら、最新の誌面を示さなければならない。本誌もまた、〈スマホ世代の総合誌〉として、その系譜に連なろうとしている。ひとを意気消沈させる言葉に満ちた社会で、希望を語り続けたい。絶望は勇ましい言葉を求め、戦争や破局につながるから。平和に夢をみるための現実をつくろう。そのために『ゲンロンy』を創刊する。寄稿者、編集委員(スペシャルサンクス・山内萌さん)、デザイナーの北村陽香さん、ゲンロン友の会、そして読者のみなさんに心より感謝を申し上げます。(植田将暉

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植田さんから「若手主体の新雑誌を創るから編集委員に加わってほしい」とのメールが来たのが昨年3月。正直に言うと、今の時代に批評誌かぁという半信半疑が第一感だった(私自身、その熱心な読者ではない)。だがこうして形になると、ゲンロンカフェやシラス等のコンテンツとも連動しつつ、硬軟織り交ぜた論考がゆるやかに接続したおもしろい雑誌となったのではないか。このゆるやかさ(というか雑多さ?)もまた、あとから振り返って、2020年代に「若手」と呼ばれた人々の思想を形作るものとして記憶されるよう、号を重ねていけるといい。(五月女颯

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若手たちによって編まれ、書かれたことが本誌のコンセプトである。テーマにも人選にも深く関わらせてもらい、中身の充実には自信をもっている。ぜひ『y』の今後の動向にも引き続き注目してほしい。しかし、ともすれば、この若さ(y)こそが本誌のもっとも大きな障壁となるかもしれない。もちろん世代循環はつねに必要であり、人文学にとって非常に重要なトピックだ。だが、若いこと「だけ」が価値である思想はつまらない。世代間の差と人間関係ばかり話題にして「新しさ」をアピールする批評はもはや古い。そろそろ中身のある話をはじめよう。(森脇透青

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出版不況のなか、雑誌に「いま」何が届けられるのか。とりわけ、ひたすら哲学文献を読んできた私が、現在・そしてすこし先の未来にどう向き合えるのか。悩みながらの立ち上げとなったが、著者の力のこもった論考たちにその答えを教えられた。動画全盛の時代、それでも文章は、私たちをより深く、より遠く、思いがけないところへ連れていってくれる。おもえば古典も「いま」に真摯に応答してきた結果の積み重ねである。同世代の編集委員と著者に恵まれ、これがいま読まれるべき歴史的な雑誌である、と自信を持って送り出せることを嬉しくおもう。(栁田詩織

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『ゲンロンy』のご感想をお待ちしています!
https://reviews.webgenron.com/

【次号は】姉妹誌『ゲンロン19』を今夏刊行予定です。

植田将暉

1999年、香川県生まれ。早稲田大学大学院法学研究科博士後期課程。専門は憲法学。おもな著作に、「21世紀の「自然の権利」と大地の人類学」(『文化人類学研究』25巻)。ゲンロンでは編集と企画、ウォッチなどを担当。メディア研究者の山内萌とYouTube番組「今週の人文ウォッチ」を好評配信中!

五月女颯

1991年生まれ。博士(文学)東京大学。専門:ジョージア近代文学、批評理論(特にエコクリティシズム)。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、現在、東京大学大学院 人文社会系研究科 現代文芸論講座 助教。著書に『ジョージア近代文学のポストコロニアル・環境批評』(成文社、2023年)。

森脇透青

95年生。批評家。京都大学文学研究科研究員。専門はジャック・デリダを中心とした哲学および美学。批評のための運動体「近代体操」主宰。共著に『ジャック・デリダ「差延」を読む』(読書人)、『25年後の東浩紀』(読書人)、『批評の歩き方』(人文書院)。

栁田詩織

93年生。哲学・倫理学者。東京大学人文社会系研究科博士課程満期退学。博士(文学)。著作に「カント倫理学に対する形式主義批判の再考」(『倫理学年報』第71集、日本倫理学会注目作)など。
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